2014年3月16日日曜日

小児医療・福祉が抱える課題とは?

今日は「第10回日本小児医療政策研究会」シンポジウムに出席させていただきました。

自分なりに考えた答えを書くというよりは、どういう問題があるのか把握してもらえることを目的に書きたいと思います。
誰にでも難病にかかる可能性はあるわけですから、是非「自分(家族)がかかったらどうするのか(どう思うのか)」を考えていただきたいと思います。


プログラムは以下のリンク先にあります。
http://www.nanbyonet.or.jp/event/img/syoseiken.pdf
(難病のこども支援全国ネットワークウェブサイトよりhttp://www.nanbyonet.or.jp/)

今回のシンポジウムのテーマは、プログラムの通り3つありました。簡単に書くと以下のような感じです。

・患者及び家族の立場から
・患者及び家族のサポートをしているグループから
・医療者の立場から


★開会~
「様々な疾患に対してどのように保障していくのが望ましいのか」

小児慢性疾患を含む難病対策を40年ぶりに改革することについてのお話がありました。
そういったことに取り組まれ始めているのは好ましいことですし、今まで諸団体の方の様々な苦労があったことかと思います。
ただ、対象の疾患数の拡大のみが問題を解決する方法なのでしょうか。対象の疾患とそれ以外の疾患の間に格差が生まれる可能性もあるのではないでしょうか。一部を包括をするということは、他方を排除する可能性も生まれるわけで、そこには細心の注意を払う必要があると考えます。
このあたりは、吉野ゆりえ氏が言及されているので、そちらもお読みください。
「病名」ではなく、個人の医療費と経済状況に応じた「難病対策」を


★シンポジウム1:患者家族の視点
「把握しきれないほどの疾患がある中で、どのような社会の在り方が望ましいのか」

ファブリー病や色素性乾皮症(XP)の患者ご家族の方が講演されていましたが、正直なところ名前を聞いたことがあるかどうかというレベルで把握しているだけでしたし、初めて知ったことは多かったです。
様々な疾患が存在する中で、全ての疾患について理解することは不可能であると思います。
(理解しようとする姿勢は大切だと思います)
偏見や差別に関する問題とも直接かかわってきますが、全てを理解できないことを前提に、患者(及び家族)がいきいきと自立して生活できるような社会とは、どのような社会なのでしょうか。

また、小児の患者が長期の生存を得られるようになったため、当時は子どもだった患者は大人になっていきます。根治できる治療が存在しない疾患や、抗がん剤等による副作用・晩期障害も多く存在します。そんな中、小児医療から成人医療への移行(トランジション)が問題になっています。これは医療だけでなく、就労等の社会的支援や福祉の面にも及びます。


★シンポジウム2:患者と家族をサポートする様々な社会資源
「様々な人々の行動によって、少しずつ支援が広がっている」

以下はこのテーマについて登壇された方が所属する団体のウェブサイトです。
公益財団法人そらぷちキッズキャンプ
公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を
一般財団法人メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパン
認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク

日本でも少しずつ活動が広がってきているようです。
子どもたちが病気やその経験を抱えながら生きていく上で、こうしたサポート活動は患者が少しでもよりよい人生を送ることを促進し、親の負担を軽減することが期待できます。
「公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を」の活動のように、患者及びその家族が企業やその他個人との交流を経て社会とつながる活動も大きな意味があるのではないでしょうか。


★シンポジウム3:医療の側から患者中心の医療とは
「医療者から見る小児医療の現状と展望」

遺伝子治療に関するものなど、専門的な話も含め、それぞれの方の立場から小児医療について講演がありました。開業医の視点から、様々な人や地域と連携してサポートしているお話は、なかなか開業医の方のお話を聞く機会がない分、興味深いものがありました。

英国の「ヘレン・ダグラスハウス」について何度か触れられていたので、リンクを貼っておきます。
Helen & Douglas House


以上のように、一口に小児医療といっても
・治療成績の向上
・情報へのアクセス
・経済的な支援
・長期入院や治療による学習の遅れ
・就労
・患者本人や家族の心のケア
・社会的な理解
など、ここには挙げられないほどの課題があります。

これらの課題の中には、他の年齢層にも当てはまるものもあります。
それぞれの課題に対して、疾患別に対処すべきものもあるでしょうし、疾患をこえて連携する必要がある課題もあると思います。(年齢層についても同様)
これからの医療、そして社会がどうなっていくのか、一人一人が考える時代になってきたのかもしれません。

余談ですが、私自身18歳で白血病を経験し、がんに関わる活動をしてきましたが、知らない情報も多くあり、病種に関わらず視野を広げてみることの大切さを感じました。
(例えば、英国では、10代前後のがん患者のサポートをしている「TeenageCancerTrust」の例は知っていましたが、「ヘレン・ダグラスハウス」については知りませんでした。)
地道に活動を続け、情報収集もしていきたいと思います。

1 件のコメント:

  1. お元気ですか?
    私も毎日アレコレと生活に追われていますが、元気です^_^

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