2012年6月13日水曜日

【レビュー】大往生したけりゃ医療とかかわるな/中村仁一

これから、時間がある時にでもブックレビューを書いてみたいと思います。

内容を振り返る目的で書いてみたいと思います。

感じたことは大切に。かといってそれで終わらすのではなくて、自分がなぜそう感じたのか、筆者は何が言いたいのかと考えることを大切にしたいと思います。


…といっても、そんなにうまく書けないかもしれないので参考程度に(笑)

レビューが内容の全てを物語っているわけではなく、読んだ人によっても印象は違うでしょうから、気になったものについては実際に読まれることをオススメします。


今回は…

「大往生したけりゃ医療とかかわるな / 中村仁一(幻冬舎)」


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おそらくこの本が出版されるときの記事だと思いますが、mixiニュースでこの本の筆者(中村仁一氏)に関しての記事がありましたが、友人の間で色々な意見がありました。
だからといって買ったわけではないのですが、たまたま書店で目にして「そういえばあの時の人の本か」と気になったので購入してみました。

入院経験のある自分にとってはかなりインパクトのあるタイトル(他の人にとってもそうですかね?)に感じました。
「死ぬのはがんに限る」っていう言葉は「なんてことを言うんだ!」って思いましたが、内容に関しては納得できることは多かったです。
医療全てを否定するものではなくて(薬なんて全く効かないなどと言っているわけではない)、医療をなんのために利用するのかを考えるべきだという内容です。
全体的に高齢者の医療について書かれています。”死と向き合う”ということに関しては若い人にも色々考えさせられる内容です。

分かりやすいように表現されている部分に関して、ちょっと不快感を感じてしまう人もいるかもしれませんが、気になる方は自分なりの言葉に置き換えて読まれる方が良いかもしれません。



第一章 医療が”穏やかな死”を邪魔している
第二章 「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」
第三章 がんは完全放置すれば痛まない
第四章 自分の死について考えると生き方が変わる
第五章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける
終章  私の生前葬ショー


全体を通しての筆者の主張は


・医療に絶対はない(リスクと効果を考えて医療を受けるべき)
・”過度の”治療は自分を苦しめることになる
・なんのために医療を受けるのか、治療によってはどうなるのか可能性があるのかを考えるべき
・日本ではタブー視されてきた”死”について一度考えるべきではないか。”死”について考えることで、”生”について考えられるのではないか。
・何かのために長生きしているわけではなく、長生きが目的になっていないだろうか


というところでしょうか。

がんは完全放置すれば痛まない という章に関しては「いやいや」と思っていましたが、全てにおいて言っているわけではありませんでした。

”医療に絶対はない”
医療はあくまでもリスクと効果であったり、薬による治療が行われる場合は、なぜこの薬が使われているのかということを理解しておく必要はあると思います。
医療に100%は存在しないということも。

”「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」”
この本の中で、治療を最後まで受けた人がどのようになっていったかの実例がいくつか挙げられています。
もちろん、個々の例について治療を受けるべきか考える必要があると思いますが、自分の意思表示ができない人が最後まで治療を受けさせられた場合にどうなる可能性があるのか、ということも考えなければならないでしょう。

”死について考えるべき”
日本では”死”について考えることは何かとタブーとされてきたような気がします。
ただ、”死”について考えることで、”生きる”を考えることはできるのではないかと以前ブログでも述べたように私も感じています。
(参照:自分の命
生きること、それ自体について答えはでないのかもしれませんが、人間が必ず迎える死について、死ぬ時にどうであれば幸せだろうか、最善だろうかと考えることで自ずと見えてくることはあるのではないでしょうか。
思い通りに死を迎えることはできないかもしれませんが、少なくともそれを考えずに行動するよりは有意義に、少しでも後悔しないように生きていけるのではないでしょうか。

「年寄りは今すぐ死ぬべきだと言うのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。”自分の死”について考えることで、自分にとって最後まで充実した幸せな人生を送れるのではないかということだと思います。(筆者は色々な例を見てきているということもあって、個人的には治療を受けることはあまり良くないとしているみたいですが。)治療を望むのなら納得のいくようにするべきです。ただ、それによるあらゆることへの影響を考慮すべきだということでしょう。

感想を一言でまとめると、これからの医療との向きあい方と、”死”から見る”生”について考えさせられる一冊でした。